保育士は女性が多い職場というイメージが根強く、男性として保育士を目指す際に「需要はあるのか」「職場に馴染めるか」と不安を感じる方もいます。実際、男性保育士はまだ少数派ですが、その割合は少しずつ増加しており、保育現場での存在感も変わりつつあります。
この記事では、男性保育士の現状割合・仕事内容・給料・キャリアパス・将来性を、最新データをもとに客観的に整理します。保育士を目指している男性や転職を検討している方にとって、現実的な判断材料となる情報をまとめました。
男性保育士は確実に増えています。
こども家庭庁の調査によると、2020年4月時点の保育士登録者数は女性158万3,219人に対して男性は8万2,330人で、男性保育士の割合は全体の約5%です。2015年の調査では約4%だったことと比べると、この5年間で割合が上昇していることがわかります。
さらにさかのぼると、2010年には約2.15%、2000年には約1.29%だったことを踏まえると、20年以上にわたって増加傾向が続いています。
ただし、現状では依然として保育士全体の約95%が女性であり、男性が少数派であることに変わりはありません。
割合が増えている背景には、保育士不足の深刻化があります。共働き世帯の増加により保育需要が高まる一方、保育士の有効求人倍率は全職種平均を大きく上回る水準で推移しており、性別を問わず人材確保が急務となっています。こうした状況を受け、男性保育士の採用に積極的な園も増えつつあります。
公立か私立かによって職場環境は異なりますが、男性保育士の受け入れ体制については地域差もあります。
例えば、千葉市では2017年に「千葉市立保育所男性保育士活躍推進プラン」が策定されるなど、男性保育士の活躍を推進する取り組みを進めている自治体も出てきています。
結論からいうと、男性保育士と女性保育士の基本的な業務内容に違いはありません。子どもの保育・生活援助・保護者対応・行事の企画運営など、担う業務は性別によって分けられるものではなく、保育士として同じ役割を果たします。
一方で、現場の実態として、男性保育士ならではの強みが発揮されやすい場面があることも事実です。主な例を挙げると、以下のとおりです。
• 体を使う活動:運動遊びや外遊び、行事での力仕事など、体力を活かした関わりが求められる場面で頼りにされやすい
• 保護者対応:父親の保護者と話しやすい関係を築ける場面があり、父親目線での育児相談に対応しやすい
• 防犯・安全管理:園内外の安全確認や不審者対応において、男性の存在が抑止力として機能するケースがある
ただし、これらはあくまで現場で期待される場面の一例であり、「男性保育士はこの役割だけ」と固定されるものではありません。個人のスキルや得意分野を活かして働くことが基本です。
勤務先の選択肢も広がっています。保育所だけでなく、認定こども園・学童保育・児童発達支援施設など、保育士資格を活かせる職場は多岐にわたります。自分の関心や働き方に合った職場を選ぶことで、男性保育士としてのキャリアをより豊かに描けるでしょう。
保育士の給与は「低い」というイメージが先行しがちですが、制度の整備とともに水準は上昇しています。ここでは男性保育士の平均年収の実態と、給料を上げるための具体的な方法を整理します。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、2024年度における保育士全体の平均年収は約406.8万円です。男性保育士の方が女性保育士よりも月額で約2.4万円、年収では約34.4万円高い水準となっています。
ただし、この数字をそのまま「男性だから高い」と捉えるのは正確ではありません。保育士の給与制度に性別による差は設けられておらず、男女の収入差は役職や勤続年数の分布の違いによるものと考えられます。
公立か私立かによっても差があります。公立保育士は地方公務員であるため、私立のように経営状態が給与に影響されることはなく、長く働き役職を得た場合に公立保育士の方が給与アップが見込まれます。
給与水準を上げるために取れる選択肢は複数あります。
主な方法を整理すると、以下のとおりです。
• 処遇改善制度の活用:国の処遇改善等加算制度により、施設に補助金が交付される。配分方法は園によって異なるため、支給実態を事前に確認することが重要
• 役職昇進:副主任保育士・専門リーダーなどの役職に就くことで、月額5千円〜最大4万円の手当加算が見込める
• 公立保育士を目指す:安定した給与体系と定期的な昇給が見込めるが、自治体の採用試験合格が条件となる
• 転職による条件改善:同じ経験年数でも、園の方針や規模によって給与水準は異なる。転職を機に条件を見直すことも有効な手段となる
処遇改善手当について詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
・『保育士と幼稚園教諭は何が違う?資格・年収・仕事内容の違いを整理』
男性保育士として働くうえで、職場環境や人間関係において特有の課題に直面するケースがあります。こうした課題を事前に把握しておくことで、職場選びや入職後の対応に活かすことができます。
現場でよく挙げられる課題は、以下のとおりです。
• 設備面の不整備:男性用の更衣室やトイレが整備されていない園もあり、少数派ゆえに後回しになりやすい環境が残っている場合がある
• 保護者との関係構築:子どもへの接触に対して慎重な目を向ける保護者もおり、信頼を得るまでに時間がかかるケースがある
• 職場内の人間関係:女性が多数を占める職場では、コミュニケーションのスタイルや慣習に戸惑いを感じる場面もある
• 孤立感:園内に男性保育士が自分一人という状況では、相談相手が見つかりにくく、孤独を感じやすい面がある
これらの課題への対応策は、大きく「信頼の積み重ね」と「職場選び」の二つに集約されます。日々の保育を通じて子どもや保護者との関係を地道に築くことが、偏見や不安を解消する最も確実な方法です。
また、男性保育士の受け入れ実績がある園や、複数の男性職員が在籍している職場を選ぶことで、こうした課題の多くを事前に回避できます。求人探しの段階で男性保育士の在籍状況を確認しておくことが、入職後のミスマッチを防ぐうえで有効です。
男性保育士の需要は、保育士全体の需給状況と切り離して考えることができません。こども家庭庁のデータによると、2025年7月時点の保育士有効求人倍率は全国で2.77倍で、全職種平均の1.18倍と大きく上回る水準が続いています。
保育士全体として人材不足が継続しているため、男性保育士に対する採用ニーズも引き続き高い状況です。
需要が続く背景には、いくつかの構造的な要因があります。
• 共働き世帯の増加:保育需要の拡大が続いており、保育施設の数も増加傾向にある
• 人材確保の多様化:女性中心の採用だけでは人手不足を補いきれず、男性保育士を歓迎・積極採用する園が増えている
• 役職候補としての期待:経験を積んだ男性保育士は、主任や施設長などの管理職候補として期待されるケースがある
• 制度的な後押し:処遇改善等加算や自治体独自の支援制度の整備が進み、保育士全体の待遇が改善傾向にある
また、2026年度から全国でスタート予定の「こども誰でも通園制度」により、保護者の就労状況にかかわらず保育施設を利用できる仕組みが広がることで、さらに保育士の需要が高まる可能性があります。
少子化が進む一方で保育ニーズが多様化・拡大していることを踏まえると、保育士は長期的に働き続けられる職業として選択肢に値します。
男性保育士は現在も少数派ですが、割合は増加傾向にあり、保育士全体の需要の高さを背景に採用ニーズも続いています。「男性が保育士として働けるか」という不安よりも、「どの職場を選ぶか」が働きやすさを大きく左右します。
この記事で確認してきたポイントを整理すると、以下のとおりです。
• 需要と割合:男性保育士の割合は約5%と少数派だが、保育士不足を背景に需要は高い水準で継続している
• 給与の考え方:性別による制度上の差はなく、処遇改善制度・役職・経験年数・公立私立の違いを理解することが給与水準を把握する鍵になる
• 職場選びの重要性:男性保育士の受け入れ実績がある園や複数の男性職員が在籍する職場では、設備面・人間関係の両面で働きやすい環境が整いやすい
• 求人比較の視点:「男性歓迎」の記載だけでなく、在籍状況・給与内訳・処遇改善の配分方針まで確認したうえで比較することが重要
求人を探す際は、複数の条件を比較したうえで判断することをおすすめします。
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